二軍を”一軍仕様”にすること
野球の日本代表つまり侍ジャパンの新監督に、
中日、巨人で活躍した井端弘和氏が就任した。
その井端氏が、7月頃だったか、CBCアナウンサーの
若狭敬一氏のラジオ番組にて、あるテーマにコメントを出されていた。
そのテーマとは
「なぜ、二軍で打てて一軍で打てない選手がいるのか?」という内容。
確かに、二軍で首位打者をとったり、
ホームランを量産する選手が、一軍だと活躍しないことがある。
一軍と二軍を行ったり来たりしてなかなか芽が出ない選手も少なくない。
そのなぜ?に対する答えと解決策を井端氏に聞き、その内容を放送していた。

ずばり、井端氏は「二軍を”一軍仕様”にすること」と断言。
「一軍は二軍と違う。一軍を二軍のような感覚で過ごすことは無理」
確かにその通り。解説は続く。
「ピッチャーの質は確かに違うが、一軍も二軍もそれほど変わらない。
二軍でも球の速いピッチャー、変化球の鋭い選手はいる。逆に一軍でも球の遅い選手はいる」
では何が違うのか?
①観客:ファンの存在である。お客さんの声援の量、質が全く違う。
②選手の気迫:二軍で対戦した投手でも顔つき、
気迫が全く違う。殺気立っている選手もいる。
③監督やベンチの雰囲気:勝利至上主義が一軍。
その勝利への執念や思い、雰囲気が全く違う。
とのこと。確かに、二軍には「勝利」以外の「育成」「調整」という
目的があるだろうから、「勝利」への熱量は一軍とは違う。
であるから、「なぜ、二軍で打てて一軍で打てない選手がいるのか?」の解決策は、
一軍を二軍仕様にすることではなくて、
「二軍を一軍仕様にすることである」ということである。

井端氏の現役生活18年の通算成績は、1896試合出場、
打率2割8分1厘、1912安打、56本塁打、510打点、149盗塁。
ベストナイン5回、ゴールデングラブ賞7回。
そして、この度、WBC監督。という輝かしい実績と評価である。
その井端氏も一年目は一軍の試合出場は18試合。
二年目は一軍出場なし。
三年目から出場機会を増やし、四年目から2番遊撃手として全試合出場し、
レギュラーとなり、実績を積み上げていく。
井端氏は、一年目の18試合で、一軍と二軍の違いを感じ取り、
二年目の二軍生活を自らで一軍仕様にして二軍を戦っていたという。
井端氏「僕のようなタイプが生き残るために何をすれば良いのか?が分かりました」

何をしたのか?
- のどかな二軍球場でも、ここは満員のナゴヤドームだと自分に言い聞かせていた。
- ランナーがいないのに、セカンドゴロを打つ、犠牲フライを打つ。
- 2アウトランナーなしで、ひたすらライトフライを狙う。
- 一打席一回しか振らないというルールを自分に課す。
- 2ストライクにわざと追い込まれる。
といった課題を自らに課して、二軍の試合にのぞんでいたという。自らで、である。
そして、こんな示唆のある言葉が。
「二軍で一番やってはいけないことは、二軍で数字を残そうとすること」
「二軍でやるべきことは、数字をある程度無視して一軍仕様で戦うこと」
課長になってから課長の勉強をやらせるか?
あなたの会社はどうか?
係長には係長の仕事がある。これは当たり前である。
では、次のステップである課長の仕事、視座を伝えているか?教えているか?
係長に係長の仕事しかやらせていなければ、そこで止まってしまうかも知れない。
課長になってから必要なこと、任せられる仕事の範囲、
期待されている顧客視点の広さ、中長期的なものの見方、考え方、経営的な数字、
現場と経営とのバランス、そして自己成長など、も伝えていく必要があろう。
以前、コンサルをしていた大手飲食チェーン本部での私のミッションは、
「係長職に課長の視座を持たせる」ことだった。
つまり即戦力の課長を育てること、教育の仕組みをつくること。
課長になってから課長の勉強をやらせるか、
課長になる前にやらせるか?答えは、後者である。
スポーツとビジネスは同じではないが、共通点は多い。
「二軍は一軍で活躍できる選手を育てるためにある」
あなたの会社ではこの言葉をどのように置き換えて、どのように社員を成長させるか?
そして、井端氏の言葉からどんなことを部下に伝えていくことができるであろうか?


