人への投資の意味とは?人的資本経営の重要性をわかりやすく解説

近年では企業価値や生産性の向上を目指すうえで、従業員をコストではなく資本と考えて人材育成に力を入れる企業が増えています。企業は大切に人材を育てることで従業員が愛社精神をもち、離職率の低下、モチベーションや成果などの向上が期待できます。

ただし、人への投資を行ったとしても、すぐに目に見える成果がでるほど簡単ではありません。中長期的な視点で取り組むことで、企業が価値を高めて成長していく可能性を伸ばします。

この記事では、人への投資の基礎知識情報や人的資源との違い、働き方改革との関係性や人的資本経営の具体例などについてわかりやすく解説していきます。

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人への投資とは?

日本政府は2022年6月7日に「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太方針2022)」を発表しており、人材やデジタル、グリーンなどへの投資、安全保障、財政政策などに一層力を入れていく見込みです。

新しい資本主義の実現に向けた取り組みの1つが「人への投資と分配」です。今までは、多くの企業で人材は人件費=コストという考えが根付いていましたが、これからはコストではなく投資の対象として人材を見て育成に注力することが求められます。

「人への投資=人的資本」とは、従業員がもつノウハウやスキル、特性などを新しい価値を生み出してくれる資本と捉える考え方です。企業が人への投資に取り組むための施策は、自社に最適なものを行っていくので企業ごとに内容は異なります。

人への投資を行う理由

企業が人への投資を行う理由には、新しい資本主義により人材育成の強化を図り、従業員一人ひとりに適した労働環境で働いてもらうことで、中長期的な視点で仕事の質や生産性、企業価値の向上に繋がるからです。

働く従業員一人ひとりが知識やスキルを高められるよう、企業が人への投資を行い人材育成に取り組めば、従業員がより主体性をもって行動するようになる可能性があります。上司や同僚から指示されたことだけをやるのではなく、自律性を高めることによって仕事の効率を高めたり、トラブルを防止したりできるようになるなど職務を遂行するうえで、様々な役割を果たしてくれるでしょう。

業界でトップの大企業であっても人材育成を怠り、従業員を大切にしないところは離職率が高くなって衰退し競争優位性を保てなくなる恐れがあります。人材育成に力を入れながら、従業員の働き方・キャリア・価値観の多様化に上手く対応していく必要があるでしょう。

人的資源との違い

人への投資(人的資本)と似ている言葉で人的資源があります。しかしながら、人的資源と人的資本は似て非なるものです。

人的資源は従業員を消費するもの(コスト)とする考え方をします。そのため、企業は従業員を育成するという考え方ではなく、即戦力に関してや人件費削減についての発想をしがちです。人的資本は人材をコストではなく、自社で知識やスキルを学ぶ機会を与えながら成長を期待するという考え方なので、人的資源とは根本的な違いがあります。

人への投資と働き方改革との関係性

従業員の時間外労働の上限規制を設けたり、正社員と非正規社員との待遇格差の改善などを目指す働き方改革ですが、人への投資とも関係性があります。働き方改革により従業員の労働時間の短縮に多くの企業が取り組んでいます。

人への投資は企業で働く従業員をコストとして考えるのではなく、自社で知識やスキルを学び優秀な人材へと成長していけるようにするという投資の対象です。働き方改革によって短縮した労働時間を使い、将来の成長に向けた勉強時間に置き換えるようにすると、仕事の生産性の向上が期待できると言えます。

これからの社会で生き残る会社にするには、人への投資が重要

企業が人への投資を積極的に行うのは、従業員にどのような知識・スキルを習得させれば仕事の生産性の向上や、企業利益の拡大を目指せるのかという点に焦点があたりがちです。

今までは、自社でしか通用しない仕事のやり方を従業員に教えたり、自社に合った人材育成に取り組めば良かったのですが、今後はデジタル化やAI技術についていける人材を確保しなければ、時代の流れに乗り遅れてしまうことになるでしょう。

長期的に企業が価値を向上させて成長していくためには、従業員やこれから確保する人材をコストではなく人的資本として考え大事に育てていくことが重要です。

【具体例】何をすれば人への投資になる?

人への投資の具体例をわかりやすく解説していきます。

  • スキルアップを図る
  • リスキリングを実施する
  • リカレント教育を行う
  • ワークライフバランスの充実を図る
  • 多様な働き方を推進する
  • 社内教育や待遇面を充実させる

スキルアップを図る

企業が成長していくためには、社内で働く従業員が自社の仕事に対して主体的に取り組み成長していかなければいけません。人への投資を行い従業員が新たなスキルを習得したり、スキルアップしたりすることで仕事の生産性や企業価値などの向上に繋がります。

例えば、従業員のスキルアップを図ることで、社員それぞれが自分自身の価値を高め、昇進や昇給の機会を増やすことができます。また、スキルアップによって、より多くの仕事に対応できるようになり、職場での責任を増やすことができます。

スキルアップを図る方法は様々で、職場でのトレーニングや教育プログラム、専門的な認定資格の取得、オンラインコースや自己学習などがあります。どの方法を選ぶにしても、社員にとって最も価値のあるものを選ぶことが重要です。

総じてスキルアップは、個人にとっても職場にとっても重要な活動であり、人への投資として積極的に取り組むべきであると言えます。

リスキリングを実施する

リスキリング(Re-skilling)とは、従業員のスキルアップに投資することで、組織の競争力を強化するための重要な施策です。リスキリングによって、従業員が最新の技術や知識を身につけ、変化する市場に対応する能力を向上させることができます。

急速に変化する市場に対応するためには、最新の知識や技術を持った従業員が必要です。また、リスキリングは組織の人材の多様性を増やすためにも重要です。様々なバックグラウンドやスキルを持った従業員がいることで、組織の柔軟性が高まり、新しいアイデアや視点が生まれるでしょう。

また、リスキリングによって、従業員のやりがいやモチベーションも向上することが期待できます。新たなスキルを身につけることで、自信を持って仕事に取り組めるようになり、自己実現やキャリアアップへの意欲も高まるでしょう。

リカレント教育を行う

リカレント教育とは、新しい知識や技能を習得し、職場での能力を向上させるための継続的な学習のことです。これは、従業員のスキルアップやキャリアアップにとって非常に重要な役割を果たします。

企業が成長して中長期的に安定した存続をするには、従業員一人ひとりが高い成長意欲をもち積極的に仕事に取り組む必要があります。社会人として働き続けるなかで現状維持の状態で妥協や満足しないように、企業はリカレント教育の一環として従業員が定期的に教育研修に参加したり、知識やスキルを学び続けられるように環境整備をすることが大切です。

リカレント教育によって従業員のスキルアップやキャリアアップが促進されることで、組織の生産性や業務効率が向上し、競争力を維持・向上が見込めます。

また、従業員が自己成長やキャリアアップを実現できる職場環境を提供することで、組織にとっても魅力的な職場環境ができ、従業員の離職率低下にもつながるでしょう。

ワークライフバランスの充実を図る

働き方改革の推進や新たな資本主義の実現に向けての取り組みなどにより、従業員の価値観・働き方が多様化しています。働き手自身や家庭の事情、将来設計などに柔軟に対応しワークライフバランスの充実を図る企業も増えてきました。

ワークライフバランスとは、仕事とプライベートの両方を充実させたバランスのとれた生活を送ることを指します。ワークライフバランスは、従業員の心身の健康や幸福感を促進するだけでなく、生産性や業務効率の向上にもつながることが期待されます。

従業員がワークライフバランスを保つことができると、ストレスや過労などの健康問題を予防することができます。これにより、従業員はより健康的で幸福感の高い生活を送ることができ、職場でのパフォーマンスも向上することが期待されます。また、ワークライフバランスが取れた従業員は、仕事に集中することができ、仕事の品質や業務効率が向上することが期待されます。

例えば、フレックスタイム制度やテレワーク制度の導入、育児休暇や有給休暇の充実などの取り組みにより、従業員が仕事とプライベートの両方を充実させることができる環境が整えば、より健康的で幸福感の高い生活を送ることができるようになります。

多様な働き方を推進する

デジタル化が進む社会で、新たな働き方として企業によってはテレワークやリモートワークに取り組んでいるところもあります。フレックスタイム制度を導入したり、正社員のみの雇用形態だけではなく非正規社員として仕事と私生活の比率を、自分で調整しながら仕事ができる職業も増えている状況です。

人への投資を行い様々な雇用形態への対応や、時間や場所にとらわれない無理のないスタイルで仕事ができるような多様な働き方を推進している企業もあります。

社内教育や待遇面を充実させる

企業が行う人的資本経営では、従業員の給料・賞与・福利厚生などの待遇面や社内教育の充実に取り組んでいるところもあります。社内教育を行い優秀な人材を育てながら高い成果をだす従業員には、インセンティブを与えたり待遇を良くしたりなどをすることで、モチベーションアップにも繋がるでしょう。

まとめ

企業のなかには、正社員に比べて人件費が抑えられる非正規雇用労働者の活躍が目立っているところもあります。少子高齢化が進み労働人口が減少傾向ですから、外部から非正規雇用労働者の増員や入れ替えだけではやがて限界がくるはずです。

企業は人材育成に力を入れなければ、人手不足に陥り衰退していく恐れがあるので人への投資を行い、社内の従業員に知識やスキルを学ぶ機会をたくさん与え、優秀な人材へと成長していけるように取り組むことが大切です。

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